2018年1月24日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 耐震補強, 耐震診断
懲りずに誰でもわかるシリーズです。
今回のテーマは接合部です。
【前回までの記事】
第1回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断 ~必要耐力と保有耐力~
第2回 誰でもわかる!木造住宅の耐震診断2 ~耐力壁~
柱と土台、梁と梁、柱と梁が繋がる部分を接合部と呼びます。地震などの大きな力が加わると、接合部が抜けようとする力が作用するので、引抜けを防止するために構造金物で強度を高めます。
この接合部ですが、建築基準法で明確に規定されたのは、2000年6月です。それまでは釘その他金物で接合とだけ記載されていました。
今の耐震基準では、壁の強さに応じた引抜け力を計算し(N値計算と言います)、必要な金物を施工しますが、2000年6月より前の建物は明確な規定がなかったため、適切な金物が使用されていないケースが見られます。
※余談ですが、阪神淡路大震災以降、壁だけは強くする(筋交いを多用するなど)傾向がありますので、築年数が新しい物件ほど接合部の引き抜けが起きやすい状況と言えます。
耐震診断では、各壁の強さに対して、接合部仕様の低減係数を反映させます。
強い壁ほど、適切な接合部でなければ、強さを低く評価する、という考え方です。(基礎の仕様によっても変わりますが、ここでは割愛します。)
例えば2階建ての1階部分の場合で、接合仕様がⅣ(釘などで金物が使用されていない)の場合、壁基準耐力が2.0kN/m(弱い壁)の場合は低減係数は1.0なので、そのままの強さが評価されますが、壁基準耐力が7.0kN/m(弱い壁)の場合は低減係数が0.6なので、60%しか評価されないことになります。
式で書くと下記になります。
Pw=Σ(C×L×f)
※Pw<壁の耐力>=Σ<合計>(C<壁強さ倍率※>×L<長さ>×f<接合部の低減係数>)
つまり、各壁の仕様から強さを算出し、接合部の仕様によって低減した数値を全部合計したものがその家の壁の耐力となります。
※壁強さ倍率については、「誰でもわかる!木造住宅の耐震診断2 ~耐力壁~ 」をご覧ください。
下表は耐震診断における接合仕様の低減係数表です。
平屋や最上階など、上に重さがかからない箇所の低減係数が低めに設定されているのがわかります。
実際の補強の現場で、接合金物だけを施工することはあまりなく、通常は壁補強とセットで接合部補強を行います。
あまり強い壁を設置しようとすると、それだけ強い引抜け力が生じてしまい、基礎も含めた改修工事が必要となる場合があるため、全体のバランスを見て補強方法を検討します。
※接合部だけ変えたとしても机上論では数値が改善したように見えますが、耐震改修工事は壁補強工事が基本となります。
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2018年1月23日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て, 耐震補強, 耐震診断, 資産価値
誰でもわかる!と言いながらも結局のところはわかりにくい分野であることは間違いないのですが、懲りずに今回もやります。
今回のテーマは耐力壁です。
前回の説明で保有耐力という説明をいたしました。
現地調査で壁の強さを確認して、全て合計したものが保有耐力です。
ここでいう強さを持つ壁を「耐力壁」と言います。
下図は壁の構造を表したものです。
単純に耐力壁といっても、柱を挟んで両側に面材が付きます。
また、壁の内部には部分的に筋交いと言われる構造材が設置されます。
1枚の耐力壁の評価は下記です。
<片側の面材の耐力>+<もう片方の面材の耐力>+<筋交いなど構造材の耐力>
各面材には耐力が下記のように設定されています(一部です)。
この壁の強さには、接合部の金物に応じた低減要素があるのですが、接合部のお話はまた後日となります。
耐震診断の現場では、各壁の面材の仕様を確認していくのが重要な作業となります。
耐震改修工事は弱い面材を強い面材に変更する工事です。
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2018年1月23日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 性能向上, 戸建て, 欠陥・トラブル, 築年数, 耐震補強, 耐震診断
今回から数回に分けて木造住宅の耐震診断について説明します。
ややこしそうに思える木造住宅の耐震診断ですが、考え方は意外とシンプルですので、是非参考にしてください。
第1回目は耐震診断の評点についてです。
耐震診断を実施すると、上部構造評点というスコアが算出されます。スコアによって4つに判定が区分されます。
1.5以上…倒壊しない
1.0~1.5…一応倒壊しない
0.7~1.0…倒壊する可能性がある
0.7未満…倒壊する可能性が高い
このスコアの1.0以上が国土交通大臣が定める安全基準となります。
耐震基準適合証明書を発行するには、上部構造評点が1.0以上である必要があります。
ところで、この上部構造評点は、階毎、建物の方向(X方向、Y方向と言います)毎に算出されるので、例えば2階建ては4つの上部構造評点が算出され、最も低いスコアがその家の耐震診断結果として採用されます。
それではこの上部構造評点はどのように求められるかをご説明します。
計算式は Iw=edQu/Qr となります。
いきなり訳の分からない記号が出てきました。記号が指し示す意味は 【 上部構造評点=保有耐力/必要耐力 】という考え方になります。
保有耐力とは耐震診断で評価されるその家の強さの合計です。(耐震診断では強さのことを耐力と表現することが多いです)
耐震診断で重要となるのは壁の強さなので、各壁の仕様を現地調査で確認して、それぞれの強さを評価していくのが耐震診断という作業になります。
必要耐力とは、建物の床面積や屋根の重さなどから、本来保持しなければならない強さの合計です。
つまり、必要耐力以上の保有耐力があれば基準を満たし、保有耐力が必要耐力を下回れば足りない分補う必要がある、という考え方になります。
1.0を下回るとダメだと判断してしまいがちなのですが、大切なのはどれくらい基準値を下回るかであって、つまりは1.0を上回るためにどれくらい工事費がかかるのか、という考え方になります。
ちなみに、旧耐震の物件だとほぼ100%、新耐震でも2000年6月までの建物だと約80%の住宅が基準を満たさないという調査結果が出ていますので、この耐震診断法は「辛め」の評価が出る手法だということも押さえておきたいポイントです。
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2018年1月22日 | セルフィン, マンション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て, 立地, 資金計画
台風や大雨、地震等による「土砂災害」「洪水」等、昨今自然災害が相次いでいます。
災害は一瞬にして尊い家族の命や貴重な財産を奪ってしまうなど、甚大な被害をもたらします。
土砂災害や水害は地形からある程度危険度を推測することができます。
住宅購入時には検討エリアのハザードマップや地盤の情報を確認しましょう。
「洪水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」に該当していないかを確認してみましょう。
住宅購入時には検討エリアのハザードマップを確認することが不可欠です。
(国土交通省ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/ )
日本は災害大国なので、被災して人生に大きな影響を及ぼす可能性を検討せずに住宅購入を進めてはいけません。
例えば、洪水ハザードマップの浸水予想図で、浸水予想深が1mを超えてくるようなエリアは避けた方が良いと言えます。
もっと危険度が高いのは「土砂災害警戒区域」。
特に土地の起伏の激しいエリアは要注意です。
「土地条件図」「地水分類図」など地形図を用いて土地歴を調べましょう。
地形図の中には、国土地理院の「色別標高図」や「土地条件図」や「治水地形分類図」など様々な種類があります。
「土地条件図」は、防災対策などを目的に主に地形分類(山地、大地、低地など)について表示したものです。
液状化などの地震時の災害危険性を確認できます。「治水地形分類図」は、治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち主に平野部を対象として、扇状地・自然堤防・旧河道・後背湿地などの詳細な地形分類及び河川工作物等が盛り込まれた地図です。
洪水など水災の危険性を確認することができます。
また、昔の地図や航空写真なども一緒に比較すると、かつて川であったとか、田んぼであったとか、工場であったなど、様々なことが分かります。購入物件が絞られてきたらそのエリアの地歴を調べておくことをお勧めします。
土地情報の検索には「今昔マップon the web(http://ktgis.net/kjmapw/)」というサイトが便利です。
現代の地図と昔の地図を並べて同じ画面で比較でき、さらに「土地条件図」や「治水地形分類図」といったようなものも表示できるので、災害の危険性を効率よく調べられます。
住宅購入は防災対策の最大のチャンスです。
災害危険性がなるべく少ない地域を選択することが有効な防災対策です。
既に家を持っている方は簡単に住みかえができないため、別の対策にお金をかける必要があるのですが、これから家を買う方があえて災害危険性の高いエリアを選択する理由はありません。
住宅購入という防災対策の最大のチャンスを無駄にしてはいけません。
日本は災害大国です。
自然災害の可能性がまったくない立地は存在しないと言われています。
防災対策は災害危険性をいかに減らす選択をするかが大切です。
例えば地震被害に備える場合、なるべく強い地盤のエリアを選択し、家屋が十分な耐震性能を確保していれば、被災するリスクをかなり抑えることができると判断できます。
カザールホームでは建物の性能はもちろん、その土地が持つリスクについても積極的にお調べして情報開示いたします。
お気軽にご相談ください。
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2017年12月25日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 耐震診断
一見なにげなく建っている家にはさまざまな制限の中で建てられています。
建物を建てる時に必ず守らなければならない建築基準法があります。
単体規定
単体規定とは、個々の建築物そのものの安全性や居住性を確保することを目的に、建築物の敷地、構造、居室の採光・換気、建築設備、建築材料の品質等に関する制限や、災害危険区域、地方公共団体の条例による制限の付加等が定められています。
集団規定
集団規定とは街づくりプランである都市計画の方針実現等のため、都市計画区域および準都市計画区域内における建築物の敷地の接道義務、用途制限、建ぺい率、容積率、高さ等の制限を定めている規定です。
もし、気に入って購入した家を建て直したいと思ってもその土地が再建築不可の土地だった場合は建て直せませんし 、増築ならいいだろうと思い2階から3階にしようとしても高さ制限があり増築できないかも知れません。
また前面の道路の為セットバックを余儀なく求められ土地が削られるかもしれません。
リニュアル仲介のエージェントは、契約までにお客様の購入物件の調査をし、不備が見つかった場合はお客様に告知を致します。
後で後悔しないために専門の方にちゃんと見てもらうことをお勧めいたします。
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2017年12月23日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て
鉄骨造の家とは、「steel(鋼鉄)」の略でS造とも呼ばれており、骨組みに鉄骨を使用して作られたものをいいます。
鉄骨には厚さ6mm以下の鋼材を使用した軽量鉄骨と厚さ6mm以上の鋼材を使用した重量鉄骨があり、注文住宅に使用される鉄骨構造住宅では軽量鉄骨を使うハウスメーカーがほとんどですが、重量鉄骨を使う住宅メーカーもあります。
軽量鉄骨造の家の工法としては、軽量鉄骨軸組工法、軽量鉄骨ラーメン工法、軽量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)などが上げられます。
軽量鉄骨自体は、工場で大量生産された材料を使うので、精度や品質が安定して、職人の技術により左右されないため、仕上がりも一定以上の水準を保てるというメリットがあります。
デメリットは材料が規格化されていて自由設計が難しくリフォーム・増改築が困難なことです。
軽量鉄骨軸組工法
木造在来工法(木造軸組工法)と同じような考え方に基づいて作られる工法で、柱、梁、筋交い(たすきがけで強度を補う)を利用しており、ブレース構造とも呼ばれます。
軽量鉄骨ラーメン工法
筋交いを使わない柱と梁を一体化(現場で鉄骨を溶接する)した方法です。
軽量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)
材料を工場で溶接まで済ませてしまい、現場ではボルトやナットで組み立てていくだけの作業となるのがユニット工法です。
ユニット(パネル)を建設地に運び込むため、狭い道路では搬入が困難なために完成までに時間がかかる事と、そもそもこの工法を使えないなどのデメリットが生じる可能性もあります。
重量鉄骨造の家の工法
重量鉄骨ラーメン工法と重量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)がありますが単純に鉄骨の厚みが違うだけとなります。
鉄骨造の家の耐震、耐火性は?
鉄骨造といっても鉄骨だけでは耐火性は低いです。
木造のように燃えてしまうことはありませんが、鉄は熱を加えると曲がってしまいますし、雨にさらされるとサビも出てきます。
そのため、耐火被覆材や防錆処理を行なった鉄骨を使うことで、優れた耐火性、防サビ性を保ちます。
鉄骨造のデメリット
・地震等で家が揺れやすい事
・木造よりも断熱性や気密性が低い事
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違いを踏まえながら、土地、間取、予算などいろいろな条件を満たすお住まい探しをされることが大事だと思います。
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2017年12月20日 | インスペクション, マンション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て
既存住宅売買かし保険という制度をご存じでしょうか。
特に中古戸建ての場合、リニュアル仲介では既存住宅売買かし保険の加入を強くお勧めしていることから、度々登場する制度です。
制度詳細はこちらから
http://www.rchukai.jp/contents/kashi.htm
今回は既存住宅売買かし保険で気を付けたいことについてご説明します。
□物件の状況によって手続きが異なる
既存住宅売買かし保険は建物の工法や取引状況によって手続きが異なります。
1)戸建てかマンションか
同じ既存住宅売買かし保険でも戸建てとマンション(専有部分)では保険商品が異なります。
検査会社によっては、戸建ては対応できてもマンションは対応できないところもあります。
<ポイント>
中古マンションの場合は、マンションが取り扱える検査会社に依頼することが大切です。
戸建てとマンションでは保険範囲の考え方が変わりますので、中古マンションの場合は保険内容についてよく確認した方が安心です。
2)売主が個人なのか宅建業者なのか
売主が個人の場合は、瑕疵保険法人に登録のある検査会社を通じて保険加入の手続きを行います。
売主が宅建業者の場合は、売主である宅建業者が保険加入の手続きを行います。
売主が宅建業者なのに検査会社に既存住宅売買かし保険を依頼しても意味がありません。
<ポイント>
売主が宅建業者の場合は、売主である宅建業者が保険の手続きを行う必要があります。
取引に携わっている仲介会社に依頼して、売主である宅建業者に交渉してもらう必要があります。
3)改修工事を想定しましょう(戸建て)
既存住宅売買かし保険に加入するには検査基準に合格する必要があります。
この検査基準は主に建物の劣化状況に関する基準です。
検査に合格しなかったから保険に入れないという考え方ではなく、不合格の場合は基準を満たす改修工事を行えば良いだけです。
業界の慣習で不動産売買契約を終えてからインスペクションやかし保険の手続きを実施しようとする仲介会社が多いのですが、改修工事が懸念される物件(相応に築年数が経過した物件)は、売買契約前にインスペクションを実施して、必要な改修費用を把握することが大切です。
※事前に把握しておけば、資金計画に盛り込むことができ、改修費用もあわせて住宅ローンで資金調達することも可能です。
<ポイント>
中古戸建ての購入の際にはインスペクションを実施して、改修費用がどれくらいかかるのかを購入判断材料にしましょう。
4)旧耐震に注意
旧耐震の場合、耐震診断などで建物の構造性能の確認が必要となるため、注意が必要です。
戸建ての場合は必要な耐震改修を実施すれば良いのですが、マンションの場合は戸単位での耐震改修という考え方ではないため、改修工事は実施できないと考える方が現実的です。
戸建ての場合は建築年月も注意が必要です。
不動産広告などに表示されている建築年月は謄本に記載されている日付であることが多いです。
新耐震・旧耐震の区分は完成年月ではなく建築確認日で判断するため、建築確認済証や検査済証など公的に建築確認日が確認できない場合は、新耐震・旧耐震の区分が昭和56年6月ではなく、昭和58年4月にズレるので注意が必要です。
5)増築・改築履歴のある物件は耐震診断が必要です(戸建て)
既存住宅売買かし保険の手続きでは、新耐震の物件の場合、耐震診断など構造性能の確認は不要とされますが、増築・改築履歴があり、新築時から構造性能が変わっている物件は新耐震であっても耐震診断で構造性能の確認が求められるので注意が必要です。
きちんと構造性能を考慮したリフォームであれば良いのですが、リフォーム履歴が残されているケースは非常にまれで、また、構造性能を考慮しないリフォームが横行しているのも事実です。
増改築歴のある物件は改修費用が多めに必要になると見ておいた方が現実的です。
特に増築物件は、そもそも耐震診断が実施できなくなっているケースが少なくないので注意が必要です。
<ポイント>
増改築歴のある物件を購入する時には、売買契約前のインスペクションが不可欠です。
6)点検口がない!
既存住宅売買かし保険の検査項目に床下と小屋裏の調査があります。
従って、床下と小屋裏の点検口がなければ既存住宅売買かし保険に加入することができません。
実務でトラブルとなるのが、検査当日に点検口がないことが判明することです。
最悪の場合はその日検査員が動いた分のコストが無駄になってしまいます。
物件内見時には、床下・小屋裏の点検口の有無を確認しましょう。
<ポイント>
物件内見時に点検口の有無を確認しましょう。
既存住宅売買かし保険の実務で問題になるポイントについて説明いたしました。
物件や取引状況で手続きが異なることについてご理解いただけたと思います。
□中古住宅の購入時には既存住宅売買かし保険の案内をしてくれる仲介会社を選びましょう
今回説明した内容を買主が判断することは現実的ではありません。
取引に携わる仲介会社にアドバイスを求めた方が良いです。
ここで問題になるのが既存住宅売買かし保険はまだまだ始まったばかりの制度で、取り扱いに不慣れどころか、今まで1回も取り扱ったことがない業者の方が多いのが実情です。
中古住宅を安心して取引するための事業者選びの指標として、既存住宅売買かし保険を希望する意思表示をしてください。
めんどくさがらずに制度の内容や手続きについてきちんと説明してくれる事業者であれば第1関門突破です。
はぐらかされたり十分な説明が得られない場合は、事業者の見直しをお勧めします。
既存住宅売買かし保険は消費者保護の制度です。
制度を知らない、やったことがない、案内する気がない事業者は、取引の他の面でも問題を抱えている可能性が高いと判断することができます。
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2017年12月5日 | 不動産購入, 建物検査, 戸建て, 立地, 築年数, 耐震補強, 耐震診断
日本は地震大国です。来るかどうかわからないではなく、いつか必ず大地震が発生することを前提に準備が必要だと思います。
□手っ取り早く地震対策を行うには?
耐震性能の高い住宅へ住み替えるのが最も手っ取り早く確実な方法です。
現状賃貸の方は、ハザードマップをよく確認して安全な物件に住み換えることで、地震リスクを大きく軽減できます。
住み換えればいいと言っても、家を所有してしまっている方にとっては簡単ではありません。
すでに家を所有していると、住み替えのハードル(心理面・コスト面)は非常に高くなります。
そこで耐震改修など性能向上リフォームを考えるのですが、コストの問題でやはり実現が難しい、というのが実情です。
長年住宅の耐震化に携わってきましたが、所有物件の耐震化は本当に難しいと思います。
既に家を所有していると住み替えは簡単ではないのですが、それでも自宅の耐震改修に比べれば住み替えの方が手っ取り早い方法なのは間違いありません。
これから家を買う人は簡単です。耐震性能の高い安全な住宅を選べばよいだけです。
□せっかくのチャンスを無駄にする人が多いです
ただ、これから家を買う方も耐震性を無視した判断をする方が多いです。
購入物件を決めてから耐震化を考えるからです。この方法では所有物件の耐震化と同じ問題に直面してしまいます。
大切なのは物件検討段階から耐震化を意識すること。
なるべく耐震化にコストがかからない物件の選び方をすることが大切です。
ハザードマップを確認し、地震だけでなくほかの災害リスクも考慮して立地を選び、
築年数で改修リスク(=改修コスト)を想定して、余裕を持った資金計画を立てれば、安全な住環境の確保がより現実的になってきます。
※中古購入の場合、改修コストを考慮しない買い方が失敗の原因となります。
□あえて旧耐震を選ぶ理由はありません
昭和56年5月以前の建物を旧耐震と呼びます。
普通の木造戸建ての場合はどんなに古くても耐震改修を行えば性能向上が可能ですが、築年数が古いと改修コストが多くかかってしまいます。
非木造戸建て(鉄骨やRCなど)の場合は旧耐震は要注意です。耐震診断も耐震改修も現実的なコストでは実現できません。
マンションも同じです。旧耐震マンションは地震の倒壊リスクに加え、将来的に耐震改修を実施する場合、耐震改修は長期修繕計画に含まれていない工事なので、改修コストが臨時徴収される恐れもあります。
旧耐震の物件を選択することは、新耐震を選ぶよりも難しい選択で、不動産や金融に精通している人向けの買い方と言えます。
リノベーション済みで綺麗になっているからと言って、素人が初めての物件購入で手を出すには難しい買い物なのです。
□防災に強い不動産屋さんを味方につけましょう
不動産業は地域密着と言われます。地域密着であるが故に、必要なマイナス情報を隠す事業者が多いのが実態です。
例えば千葉県浦安市(東日本大震災で液状化被害のあったエリアです)のハザードマップを見ると、多くのエリアが液状化の可能性があると判定されています。
「液状化の話題に触れると、浦安市では商売ができない」そんな風に考えている事業者が多いのが問題です。
地震だけではありません。洪水、土砂災害など立地選択で考慮すべきことはたくさんあります。
言い換えると、ハザードマップで問題がまったくないエリアの方が少ない(ほとんどない)のが日本という国なのです。
まずは情報を得て、その上でリスクを考慮して適切に判断することが求められます。
防災に強い不動産会社に出会うことができれば、強い味方になるでしょう。
不動産会社に問い合わせる時(特に最初に訪問した時)は、物件情報だけでなく防災リスクについても質問し、適切な回答が得られるかどうかで事業者選びの判断基準とすることをお勧めします。
※ちなみに防災士という資格制度もありますが、不動産屋さんで防災士を持っている人はあまりいないのではないかと思います。
地震対策は防災グッズを揃えることではありません。
まずは地震が来ても家族に被害が及ばない住環境を確保することが何よりも大切です。
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2017年12月1日 | インスペクション, マンション, リフォーム, 不動産購入, 建物検査, 性能向上, 戸建て
0.5ミリ以上のクラック(ひび割れ)には要注意! 購入前の外周チェックは重要です。
Hさんが購入を決めた物件は築30年の戸建て住宅です。
「新耐震」と言われる時期の建物ではあるものの、中古物件なので住宅の性能に不安を感じていました。
また、築20年を超えているので、築後年数の要件に抵触し、そのままの状態では住宅ローン減税が使えません。
そこで、リニュアル仲介の提案で既存住宅売買かし保険に加入するための建物インスペクションを実施することにしました。
税制改正により、かし保険の付保証明書が発行された住宅であれば、住宅ローン減税の対象とすることができるからです。
既存住宅売買かし保険は、国土交通省が認可した瑕疵保険法人が提供する保険商品です。
万が一構造に問題があったり、雨水の浸入などが発生した場合、最大1000万円まで保険金が下りるので、必要な補修費用を補てんすることができます。
既存住宅売買かし保険は検査と保証が一体となった、特に中古の木造住宅を検討する際には欠かせない保険制度です。
専門の建築士による建物インスペクションを実施した結果、建物の外壁や基礎に0.5ミリ以上ある、構造的に問題のあるひび割れがかなり存在していることが指摘されました。
このままではかし保険に加入できないだけでなく、ひび割れを放置すると、基礎コンクリートの耐久性に大きな影響を及ぼすほか、外壁からの雨水の浸入などが懸念され、とても安心して暮らせる状態ではありません。
もともと外壁のひび割れの補修跡が目立つ状態で、購入する際には外壁の塗装を実施することを検討していたので、売主様の協力のもと、物件の引渡し前に外壁塗装を中心とした劣化改修工事を実施することになりました。
専門家による建物インスペクションを行うことで中古物件に対する漠然とした不安が具体的になり、必要な対策を講じることができます。
きっかけは住宅ローン減税だったのですが、住宅ローン減税が利用できるだけでなく、かし保険に加入することで5年間最大1000万円の保証を受けることができ、何より建物の問題点が改善され、安心して暮らせる住環境を実現できたことに大満足のHさんでした。
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2017年11月30日 | インスペクション, リノベーション, リフォーム, 建物検査, 未分類, 税金, 耐震補強, 耐震診断, 補助金, 資金計画
劣化改修・耐震改修・断熱改修… 性能向上リフォームで築47年の物件が安心・快適住宅に
今回はリニュアル仲介の福岡県の加盟店さんでのお話です。
もともとは他県から単身赴任で福岡の地に来ましたが、福岡の住みやすさを気に入り永住する決断をされたIさん。
そんなIさんが購入したのは築47年の不動産会社が売主となるリフォーム済み物件でした。
住宅購入に際しては最初から新築住宅より、少し古い感じの中古住宅に興味を持たれていたようです。
今回の物件はかなり築年数の経った物件でしたが、売主事業者により室内側はリフォームも行われ、見た目が綺麗であったため、今回の物件に決めることにしました。
安心して住宅購入を行うために、加盟店の提案により、リニュアル仲介サービスを利用することにしました。
さっそく建築士による建物インスペクション(耐震診断含む)を実施してみると、リフォームされて一見綺麗に見える状態だったのですが、耐震診断の結果は0.63と基準を満たさず、更に断熱性能もかなり低い状態であることが分かりました。
すでに外壁塗装済だったのですが、古い感じが残っていることが気になっていたので、思い切って外壁カバー工法(外断熱)を実施。さらに屋根や床・壁の断熱改修と全ての窓を断熱性の高いものへ交換するなど、断熱性能向上を重視したリフォームを実施しました。
幸い、耐震工事は3か所の改修工事で耐震基準を満たすことができ、耐震基準適合証明書発行により住宅ローン減税も適用できました。
リフォーム瑕疵保険(ワイド)を付保し5年間最大1000万円の保証が付くほか、国交省の長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金(100万円)も活用することができ、各種補助制度の活用で200万円以上もお得になる結果に。
物件の良い点、悪い点を適確にアドバイスいただくことで、満足度の高いマイホームを手に入れることができました、と大満足のIさんでした。
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