2018年1月25日 | お金, インスペクション, セルフィン, マンション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て, 資産価値
中古の不動産市場は、最初に売り出した時の「売出価格」と実際に成約に至った時の「成約価格」の間に乖離が見られます。
売りに出しているエリアやタイミング等、個々の要因によって差はありますが、その乖離率は昨今では平均で約5%~10%近くになっています。
2014年ぐらいまで遡ると、「売出価格」と「成約価格」の乖離が少ないことが分かります。
直近のものが下記の資料。
売主には売り手の仲介業者が付いていて、売却の相談した際に取引相場をきちんと教えてもらっています。
売却を決心した売主の関心といえば、正直いくらで売れるかの「売却価格」のみ・・・。
だから、売り手側には必ず思惑があるのです。
いつまでに売却しなければならないのか、ある程度の想定期間の中で、仲介業者より想定成約価格を聞き、販売戦略を一緒に決めます。
例えば、
「過去の成約事例を見ると、○○万円になりそうですが、売却期間に余裕があるので、少し高めから出して様子を見てみましょう!」
「過去の最高単価と同じ価格で売り出してみて、様子を見ながら下げてみましょう!」
など・・・
仲介業者は、過去の最高単価で売り手に高く売れる可能性を夢見させる場合もあれば、現実的な想定成約価格を提示して「この価格以上なら売ってしまいましょう」と迫る売り手の仲介業者もいます。
要は売り手には相場をきちんと教えてくれる人がいるが、買い手にはきちんと教えてくれる人がいないことが多いというのが問題なのです。
一般的に仲介会社も買い手についた場合、買い手が内覧する物件を全部査定する習慣はほぼありません。
買い手の仲介は成約すれば手数料が入るが、買い手が満足するまで割安で買えることに積極的に動いてくれるところは残念ながら少ないのです。
もっとひどい事情を言ってしまえば 一見さんで知識のない顧客には、不動産会社からすると情報格差を活かしてうまいこと成約させてしまった方が楽なので、お客様にきちんと相場等をお教えしようとする気持ちは生まれないのです。
買い手の仲介業者は価格が下がれば自分の手数料も下がるだけですし、結果的に買い手は無防備な状態で判断を迫られており、これでは市場で食いものにされやすい弱者と言えるでしょう。
だから、何の知識武装もすることなく、不動産ポータルサイトに「広告」を出している売主側の仲介業者に行ってしまっては、「相場」より高く買ってしまう事にもなりかねません。
あなたの味方になってくれる専門家(エージェント)と家探しをするという事が非常に大切になってきます。
弊社では、内見して「買っても良いかも・・・」という物件に出遭った段階で、買付申込みをする前に、
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2018年1月23日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て, 耐震補強, 耐震診断, 資産価値
誰でもわかる!と言いながらも結局のところはわかりにくい分野であることは間違いないのですが、懲りずに今回もやります。
今回のテーマは耐力壁です。
前回の説明で保有耐力という説明をいたしました。
現地調査で壁の強さを確認して、全て合計したものが保有耐力です。
ここでいう強さを持つ壁を「耐力壁」と言います。
下図は壁の構造を表したものです。
単純に耐力壁といっても、柱を挟んで両側に面材が付きます。
また、壁の内部には部分的に筋交いと言われる構造材が設置されます。
1枚の耐力壁の評価は下記です。
<片側の面材の耐力>+<もう片方の面材の耐力>+<筋交いなど構造材の耐力>
各面材には耐力が下記のように設定されています(一部です)。
この壁の強さには、接合部の金物に応じた低減要素があるのですが、接合部のお話はまた後日となります。
耐震診断の現場では、各壁の面材の仕様を確認していくのが重要な作業となります。
耐震改修工事は弱い面材を強い面材に変更する工事です。
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2018年1月23日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 性能向上, 戸建て, 欠陥・トラブル, 築年数, 耐震補強, 耐震診断
今回から数回に分けて木造住宅の耐震診断について説明します。
ややこしそうに思える木造住宅の耐震診断ですが、考え方は意外とシンプルですので、是非参考にしてください。
第1回目は耐震診断の評点についてです。
耐震診断を実施すると、上部構造評点というスコアが算出されます。スコアによって4つに判定が区分されます。
1.5以上…倒壊しない
1.0~1.5…一応倒壊しない
0.7~1.0…倒壊する可能性がある
0.7未満…倒壊する可能性が高い
このスコアの1.0以上が国土交通大臣が定める安全基準となります。
耐震基準適合証明書を発行するには、上部構造評点が1.0以上である必要があります。
ところで、この上部構造評点は、階毎、建物の方向(X方向、Y方向と言います)毎に算出されるので、例えば2階建ては4つの上部構造評点が算出され、最も低いスコアがその家の耐震診断結果として採用されます。
それではこの上部構造評点はどのように求められるかをご説明します。
計算式は Iw=edQu/Qr となります。
いきなり訳の分からない記号が出てきました。記号が指し示す意味は 【 上部構造評点=保有耐力/必要耐力 】という考え方になります。
保有耐力とは耐震診断で評価されるその家の強さの合計です。(耐震診断では強さのことを耐力と表現することが多いです)
耐震診断で重要となるのは壁の強さなので、各壁の仕様を現地調査で確認して、それぞれの強さを評価していくのが耐震診断という作業になります。
必要耐力とは、建物の床面積や屋根の重さなどから、本来保持しなければならない強さの合計です。
つまり、必要耐力以上の保有耐力があれば基準を満たし、保有耐力が必要耐力を下回れば足りない分補う必要がある、という考え方になります。
1.0を下回るとダメだと判断してしまいがちなのですが、大切なのはどれくらい基準値を下回るかであって、つまりは1.0を上回るためにどれくらい工事費がかかるのか、という考え方になります。
ちなみに、旧耐震の物件だとほぼ100%、新耐震でも2000年6月までの建物だと約80%の住宅が基準を満たさないという調査結果が出ていますので、この耐震診断法は「辛め」の評価が出る手法だということも押さえておきたいポイントです。
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2018年1月22日 | セルフィン, マンション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て, 立地, 資金計画
台風や大雨、地震等による「土砂災害」「洪水」等、昨今自然災害が相次いでいます。
災害は一瞬にして尊い家族の命や貴重な財産を奪ってしまうなど、甚大な被害をもたらします。
土砂災害や水害は地形からある程度危険度を推測することができます。
住宅購入時には検討エリアのハザードマップや地盤の情報を確認しましょう。
「洪水ハザードマップ」「土砂災害ハザードマップ」に該当していないかを確認してみましょう。
住宅購入時には検討エリアのハザードマップを確認することが不可欠です。
(国土交通省ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/ )
日本は災害大国なので、被災して人生に大きな影響を及ぼす可能性を検討せずに住宅購入を進めてはいけません。
例えば、洪水ハザードマップの浸水予想図で、浸水予想深が1mを超えてくるようなエリアは避けた方が良いと言えます。
もっと危険度が高いのは「土砂災害警戒区域」。
特に土地の起伏の激しいエリアは要注意です。
「土地条件図」「地水分類図」など地形図を用いて土地歴を調べましょう。
地形図の中には、国土地理院の「色別標高図」や「土地条件図」や「治水地形分類図」など様々な種類があります。
「土地条件図」は、防災対策などを目的に主に地形分類(山地、大地、低地など)について表示したものです。
液状化などの地震時の災害危険性を確認できます。「治水地形分類図」は、治水対策を進めることを目的に、国が管理する河川の流域のうち主に平野部を対象として、扇状地・自然堤防・旧河道・後背湿地などの詳細な地形分類及び河川工作物等が盛り込まれた地図です。
洪水など水災の危険性を確認することができます。
また、昔の地図や航空写真なども一緒に比較すると、かつて川であったとか、田んぼであったとか、工場であったなど、様々なことが分かります。購入物件が絞られてきたらそのエリアの地歴を調べておくことをお勧めします。
土地情報の検索には「今昔マップon the web(http://ktgis.net/kjmapw/)」というサイトが便利です。
現代の地図と昔の地図を並べて同じ画面で比較でき、さらに「土地条件図」や「治水地形分類図」といったようなものも表示できるので、災害の危険性を効率よく調べられます。
住宅購入は防災対策の最大のチャンスです。
災害危険性がなるべく少ない地域を選択することが有効な防災対策です。
既に家を持っている方は簡単に住みかえができないため、別の対策にお金をかける必要があるのですが、これから家を買う方があえて災害危険性の高いエリアを選択する理由はありません。
住宅購入という防災対策の最大のチャンスを無駄にしてはいけません。
日本は災害大国です。
自然災害の可能性がまったくない立地は存在しないと言われています。
防災対策は災害危険性をいかに減らす選択をするかが大切です。
例えば地震被害に備える場合、なるべく強い地盤のエリアを選択し、家屋が十分な耐震性能を確保していれば、被災するリスクをかなり抑えることができると判断できます。
カザールホームでは建物の性能はもちろん、その土地が持つリスクについても積極的にお調べして情報開示いたします。
お気軽にご相談ください。
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2018年1月18日 | news, マンション, 不動産購入, 性能向上, 戸建て
家電や住宅設備にIoTを導入した「スマートホーム」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
スマートホームとは家電や電化製品を統合・制御することで、効率的かつ快適な自動化された住まいのことを言います。
スマートホームは「スマートホーム管理システム」と様々な「小型スマートホームデバイス」の2つの要素からなっています。
ホーム自動化システムとも呼ばれ、スマートホーム管理システムは照明、換気、空調(冷暖房)、あらゆるデバイスやセキュリティなどを統合する住宅自動管理システムです。
スマートホームによって実現できるエネルギー管理や、遠隔でのホームデバイスの管理などがユーザーの興味を惹きますが、ユーザーがスマートホーム技術を使い続けるには、革新的な技術よりも利便性や使いやすさ、またはセキュリティ機能が大事だと考えられています。
また、問題もあり、高価格、低需要、長いデバイスの交換サイクルという問題がスマートホームの普及を妨げると指摘されている為、スマートホームは生活のスマート化を実現するより、さらにユーザを混乱させる可能性があるとも言われています。
最近ではCMでも良く目にしますが、外出先で自宅のエアコンのスイッチを入れられる事や子どもが帰宅したことを外出先のスマホで確認したり、鍵の閉め忘れがないかを調べて外出先からロックする、といった安心感や利便性を提供するIoTマンションなどの集合住宅向けIoTサービス「つたえるーむ」をシャープなどが共同で発表しています。
詳しく下記をご覧下さい
http://www.nikkei.com/article/DGXLRSP450241_V00C17A7000000/
(以下一部抜粋記事)
集合住宅向けIoTソリューション「つたえるーむ」による各社連携機能は以下の通りです。(以下抜粋記事)
1.見守り・安心機能
・共用部のハンズフリーオートロック(アッサアブロイ提供)を通過するだけで、通過したカード所持者の帰宅および外出の情報をスマートフォンアプリ「ココロボ~ド」(シャープ提供)に通知。
・各戸(専有部)に設置のデジタルドアロック(アッサアブロイ提供)を、カード所持者が解錠したことを「ココロボ~ド」に通知、外にいても誰が帰宅したかがわかる。
・各戸(専有部)のデジタルドアロックの施錠状態を「ココロボ~ド」で確認できる。解錠状態だった場合は「ココロボ~ド」から施錠できる。
・集合玄関機(アイホン提供)から部屋の呼び出しがあった場合、来訪者の画像と来訪時間を「ココロボ~ド」に通知。
・「ココロボ~ド」に通知された内容は、各戸(専有部)に設置されたモニター付インターホン(アイホン提供)でも確認可能。
2.暮らし便利機能
・来客用駐車場などの共用施設を、マンション専用ポータルサイト (アルテリア・ネットワークス提供)からWeb予約することができる。「ココロボ~ド」のカレンダーと連携しているため、予約の時間が近づいたら「ココロボ~ド」にも通知される。
いろいろ使いこなせれば便利な機能だと思います。あとはセキュリティの問題がなければ是非使ってみたいと思います。
これからマンションを検討されている方は立地や間取り、マンションのもっている機能性をよく確認してみるとよいと思います。
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2018年1月11日 | セルフィン, マンション, 不動産購入, 戸建て, 資産価値, 資金計画
中古の不動産市場は、最初に売り出した時の「売出価格」と実際に成約に至った時の「成約価格」の間に乖離が見られます。
売りに出しているエリアやタイミング等個々の要因によって差はあれど、その乖離率は、昨今では平均で約5%~10%近くになっています。
2014年ぐらいまで遡ると、「売出価格」と「成約価格」の乖離が少ないことが分かります。
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売主には売り手の仲介業者が付いていて、売却の相談した際に取引相場をきちんと教えてもらっています。売却を決心した売主の関心といえば、正直いくらで売れるかの「売却価格」のみ・・・。
だから、売り手側には必ず思惑があるのです。
いつまでに売却しなければならないのか、ある程度の想定期間の中で、仲介業者より想定成約価格を聞き、販売戦略を一緒に決めます。
例えば、
「過去の成約事例を見ると、○○万円になりそうですが、売却期間に余裕があるので、少し高めから出して様子を見てみましょう!」
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など・・・
仲介業者は、過去の最高単価で売り手に高く売れる可能性を夢見させる場合もあれば、現実的な想定成約価格を提示して「この価格以上なら売ってしまいましょう」と迫る売り手の仲介業者もいます。
要は売り手には相場をきちんと教えてくれる人がいるが、買い手にはきちんと教えてくれる人がいないことが多いというのが問題なのです。
一般的に仲介会社も買い手についた場合、買い手が内覧する物件を全部査定する習慣はほぼありません。
買い手の仲介は成約すれば手数料が入るが、買い手が満足するまで割安で買えることに積極的に動いてくれるところは残念ながら少ないのです。
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買い手の仲介業者は価格が下がれば、自分の手数料も下がるだけですし、結果的に、買い手は無防備な状態で判断を迫られており、これでは市場で食いものにされやすい弱者と言えるでしょう。
だから、何の知識武装もすることなく、不動産ポータルサイトに「広告」を出している売主側の仲介業者に行ってしまっては、「相場」より高く買ってしまう事にもなりかねません。
あなたの味方になってくれる専門家(エージェント)と家探しをするという事が非常に大切になってきます。
弊社では、内見して「買っても良いかも・・・」という物件に出遭った段階で、買付申込みをする前に、棟内マンション過去の成約事例、周辺の類似成約事例、周辺の現在の売出し状況を鑑み、具体的に価格の妥当性の検証を行っています。
また、何かある度に都度仲介業者へ聞くのも大変ですので、弊社リニュアル仲介では、ご自分でもおよその判断が出来るようなツールとして、「SelFin」などのWEBアプリを提供しています。
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2017年12月23日 | インスペクション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て
鉄骨造の家とは、「steel(鋼鉄)」の略でS造とも呼ばれており、骨組みに鉄骨を使用して作られたものをいいます。
鉄骨には厚さ6mm以下の鋼材を使用した軽量鉄骨と厚さ6mm以上の鋼材を使用した重量鉄骨があり、注文住宅に使用される鉄骨構造住宅では軽量鉄骨を使うハウスメーカーがほとんどですが、重量鉄骨を使う住宅メーカーもあります。
軽量鉄骨造の家の工法としては、軽量鉄骨軸組工法、軽量鉄骨ラーメン工法、軽量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)などが上げられます。
軽量鉄骨自体は、工場で大量生産された材料を使うので、精度や品質が安定して、職人の技術により左右されないため、仕上がりも一定以上の水準を保てるというメリットがあります。
デメリットは材料が規格化されていて自由設計が難しくリフォーム・増改築が困難なことです。
軽量鉄骨軸組工法
木造在来工法(木造軸組工法)と同じような考え方に基づいて作られる工法で、柱、梁、筋交い(たすきがけで強度を補う)を利用しており、ブレース構造とも呼ばれます。
軽量鉄骨ラーメン工法
筋交いを使わない柱と梁を一体化(現場で鉄骨を溶接する)した方法です。
軽量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)
材料を工場で溶接まで済ませてしまい、現場ではボルトやナットで組み立てていくだけの作業となるのがユニット工法です。
ユニット(パネル)を建設地に運び込むため、狭い道路では搬入が困難なために完成までに時間がかかる事と、そもそもこの工法を使えないなどのデメリットが生じる可能性もあります。
重量鉄骨造の家の工法
重量鉄骨ラーメン工法と重量鉄骨ユニット工法(プレハブ工法)がありますが単純に鉄骨の厚みが違うだけとなります。
鉄骨造の家の耐震、耐火性は?
鉄骨造といっても鉄骨だけでは耐火性は低いです。
木造のように燃えてしまうことはありませんが、鉄は熱を加えると曲がってしまいますし、雨にさらされるとサビも出てきます。
そのため、耐火被覆材や防錆処理を行なった鉄骨を使うことで、優れた耐火性、防サビ性を保ちます。
鉄骨造のデメリット
・地震等で家が揺れやすい事
・木造よりも断熱性や気密性が低い事
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の違いを踏まえながら、土地、間取、予算などいろいろな条件を満たすお住まい探しをされることが大事だと思います。
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2017年12月20日 | インスペクション, マンション, 不動産購入, 建物検査, 戸建て
既存住宅売買かし保険という制度をご存じでしょうか。
特に中古戸建ての場合、リニュアル仲介では既存住宅売買かし保険の加入を強くお勧めしていることから、度々登場する制度です。
制度詳細はこちらから
http://www.rchukai.jp/contents/kashi.htm
今回は既存住宅売買かし保険で気を付けたいことについてご説明します。
□物件の状況によって手続きが異なる
既存住宅売買かし保険は建物の工法や取引状況によって手続きが異なります。
1)戸建てかマンションか
同じ既存住宅売買かし保険でも戸建てとマンション(専有部分)では保険商品が異なります。
検査会社によっては、戸建ては対応できてもマンションは対応できないところもあります。
<ポイント>
中古マンションの場合は、マンションが取り扱える検査会社に依頼することが大切です。
戸建てとマンションでは保険範囲の考え方が変わりますので、中古マンションの場合は保険内容についてよく確認した方が安心です。
2)売主が個人なのか宅建業者なのか
売主が個人の場合は、瑕疵保険法人に登録のある検査会社を通じて保険加入の手続きを行います。
売主が宅建業者の場合は、売主である宅建業者が保険加入の手続きを行います。
売主が宅建業者なのに検査会社に既存住宅売買かし保険を依頼しても意味がありません。
<ポイント>
売主が宅建業者の場合は、売主である宅建業者が保険の手続きを行う必要があります。
取引に携わっている仲介会社に依頼して、売主である宅建業者に交渉してもらう必要があります。
3)改修工事を想定しましょう(戸建て)
既存住宅売買かし保険に加入するには検査基準に合格する必要があります。
この検査基準は主に建物の劣化状況に関する基準です。
検査に合格しなかったから保険に入れないという考え方ではなく、不合格の場合は基準を満たす改修工事を行えば良いだけです。
業界の慣習で不動産売買契約を終えてからインスペクションやかし保険の手続きを実施しようとする仲介会社が多いのですが、改修工事が懸念される物件(相応に築年数が経過した物件)は、売買契約前にインスペクションを実施して、必要な改修費用を把握することが大切です。
※事前に把握しておけば、資金計画に盛り込むことができ、改修費用もあわせて住宅ローンで資金調達することも可能です。
<ポイント>
中古戸建ての購入の際にはインスペクションを実施して、改修費用がどれくらいかかるのかを購入判断材料にしましょう。
4)旧耐震に注意
旧耐震の場合、耐震診断などで建物の構造性能の確認が必要となるため、注意が必要です。
戸建ての場合は必要な耐震改修を実施すれば良いのですが、マンションの場合は戸単位での耐震改修という考え方ではないため、改修工事は実施できないと考える方が現実的です。
戸建ての場合は建築年月も注意が必要です。
不動産広告などに表示されている建築年月は謄本に記載されている日付であることが多いです。
新耐震・旧耐震の区分は完成年月ではなく建築確認日で判断するため、建築確認済証や検査済証など公的に建築確認日が確認できない場合は、新耐震・旧耐震の区分が昭和56年6月ではなく、昭和58年4月にズレるので注意が必要です。
5)増築・改築履歴のある物件は耐震診断が必要です(戸建て)
既存住宅売買かし保険の手続きでは、新耐震の物件の場合、耐震診断など構造性能の確認は不要とされますが、増築・改築履歴があり、新築時から構造性能が変わっている物件は新耐震であっても耐震診断で構造性能の確認が求められるので注意が必要です。
きちんと構造性能を考慮したリフォームであれば良いのですが、リフォーム履歴が残されているケースは非常にまれで、また、構造性能を考慮しないリフォームが横行しているのも事実です。
増改築歴のある物件は改修費用が多めに必要になると見ておいた方が現実的です。
特に増築物件は、そもそも耐震診断が実施できなくなっているケースが少なくないので注意が必要です。
<ポイント>
増改築歴のある物件を購入する時には、売買契約前のインスペクションが不可欠です。
6)点検口がない!
既存住宅売買かし保険の検査項目に床下と小屋裏の調査があります。
従って、床下と小屋裏の点検口がなければ既存住宅売買かし保険に加入することができません。
実務でトラブルとなるのが、検査当日に点検口がないことが判明することです。
最悪の場合はその日検査員が動いた分のコストが無駄になってしまいます。
物件内見時には、床下・小屋裏の点検口の有無を確認しましょう。
<ポイント>
物件内見時に点検口の有無を確認しましょう。
既存住宅売買かし保険の実務で問題になるポイントについて説明いたしました。
物件や取引状況で手続きが異なることについてご理解いただけたと思います。
□中古住宅の購入時には既存住宅売買かし保険の案内をしてくれる仲介会社を選びましょう
今回説明した内容を買主が判断することは現実的ではありません。
取引に携わる仲介会社にアドバイスを求めた方が良いです。
ここで問題になるのが既存住宅売買かし保険はまだまだ始まったばかりの制度で、取り扱いに不慣れどころか、今まで1回も取り扱ったことがない業者の方が多いのが実情です。
中古住宅を安心して取引するための事業者選びの指標として、既存住宅売買かし保険を希望する意思表示をしてください。
めんどくさがらずに制度の内容や手続きについてきちんと説明してくれる事業者であれば第1関門突破です。
はぐらかされたり十分な説明が得られない場合は、事業者の見直しをお勧めします。
既存住宅売買かし保険は消費者保護の制度です。
制度を知らない、やったことがない、案内する気がない事業者は、取引の他の面でも問題を抱えている可能性が高いと判断することができます。
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2017年12月15日 | 不動産購入, 戸建て, 立地, 資産価値
やっと見つけた理想の物件。
駅からのアクセスも良く、室内も簡単なリフォームで住むことができそうです。
築年数は経っていましたが、保険に加入することで住宅ローン控除も使えそうです。
ところが、1点気になるのが、販売チラシにある「計画道路あり」の記載です。
これは、購入に向けて手続きを進めて良い物件なのでしょうか?
まず、計画道路には、2段階の状態があります。
道路を通すことが決まった「計画決定」の状況と、実際に計画に予算がついて事業が動き出した「事業決定」の状況です。
「事業決定」の状況では、該当エリアの収用や、立ち退き作業が始まっているので、新しい建物を建築することができません。
購入したとしても、立ち退きの話が出てきますので、長期的な住まいには向きません。
一方で、「計画決定」の場合はどうでしょうか。
計画道路が「計画決定」段階の場合には、役所の許可を得る必要がありますが通常の木造住宅であれば建築することができます。
すぐに事業決定になるようでなければ、そのまま住み続けることも可能です。
では、「計画決定」から「事業決定」になるまでは、どれくらい時間がかかるのでしょうか?
これは、一概には判断できませんが、多くの計画道路は、昭和30年から昭和40年くらいにかけて計画されたまま、事業開始に至っていない状態です。
例えば、一部報道で「マッカーサー道路」とも呼ばれた環状第2号線なども、計画から約70年を経て、やっと開通に至りました。
各市区町村では、計画道路の中でも「優先整備道路」という指定をしています。
「優先整備道路」になっている場合には、まだ計画決定の段階であっても、事業決定の段階へ進むのもそう先ではなさそうですね。
事業決定がされ、実際に立ち退きをしなければならない場合には、行政による買い取りや代替地の用意などがされます。
購入を検討する物件が「計画道路」にかかっている場合には、敷地のどの程度が計画道路にかかっているのか、近隣の状況を見て、実際に計画がスタートするまでにどれくらい時間がかかりそうか(どれくらい住み続けられるのか)等を検討しましょう。
事業決定がされた場合の行政による買取額は「時価」とされています。
事業決定された時点で、不動産価格が値下がりしてしまっていては、大きな損となってしまいます。
しっかりと資産価値を調査したうえで、近隣の状況と複合的に判断するようにしましょう。
不動産購入でお悩みの際には、資産価値を重視した物件購入をサポートするリニュアル仲介加盟店のカザールホームへご相談ください。
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2017年12月14日 | news, 不動産購入, 戸建て, 欠陥・トラブル, 資産価値
一般に,土地を区切る境目のことを「境界」とか「境界線」などといいます。境界紛争がおこった場合には,この「境界」という言葉は,実はいろいろな意味を含んでいます。専門家の間では,そのいろいろな意味を明確に区別するために「筆界」,「所有権界」という言葉を使用しています。
今回は、境界紛争がおこった場合に、裁判をしなくても、境界トラブルを早期に解決することができる「筆界特定制度」についてお話しします。
※境界紛争の問題点が「所有権界」である場合もありますので,制度の利用については法務局や弁護士,土地家屋調査士など専門家にご相談ください。
法務局が行っている「筆界特定制度」は、その土地が登記されたときの境界(筆界)について、現地における位置を公的機関が調査し、明らかにする制度。筆界の位置を示す証拠として活用することができ、境界トラブルの防止や解決に役立ちます。
▼土地には2種類の「境界」があります。
一つは、その土地が法務局に初めて登記されたときにその土地の範囲を区画するものとして定められた「筆界」といわれる境界です。その後に、分筆や合筆の登記手続により変更されていないかぎり、登記されたときの区画線がそのまま現在の筆界となります。筆界は、土地の所有者同士の合意によって変更することはできません。
もう一つは、「所有権界」といって、土地の所有者の権利が及ぶ範囲を画する境界です。所有権界は土地の所有者間で自由に移動させることがで きます。筆界と所有権界は一致するのがふつうですが、土地の一部についてほかの方に譲り渡したり、ほかの方が時効によって所有権を取得したりした場合に は、筆界と所有権界が一致しないこともあります。
隣地との筆界が不明な場合には、土地を売買したり、その土地にある家屋を改築したりしようというときに、筆界をめぐってトラブルになるケースが少なくありません。そこで、こうした筆界をめぐるトラブル の予防や早期解決に役立てるため、平成18年1月から「筆界特定制度」が始まりました。
▼「筆界特定制度」とは
土地の所有者の申請に基づいて、筆界特定登記官が、民間の専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。筆界特定とは、新たに筆界を決めることではなく、実地調査や測量を含む様々な調査を行った上で、過去に定められたもともとの筆界を 筆界特定登記官が明らかにすることです。
土地の筆界をめぐる問題が生じたときには、裁判(筆界確定訴訟)によって筆界を明らかにするという方法もありますが、その場合、筆界を明らかにするための資料の収集は、所有者自身が行わなければなりません。
筆界特定制度を活用することによって、公的な判断として筆界を明らかにできるため、隣人同士で裁判をしなくても、筆界をめぐる問題の解決を図ることができます。また、当事者の資料収集の負担も軽減されるというメリットもあります。
◆筆界特定は、土地所有者などからの申請に基づいて行われます。
筆界特定の申請ができるのは、土地の所有者として登記されている人、またはその相続人などです。申請人は、対象となる土地の所在地を管轄する法務局または地方法務局の筆界特定登記官に対して、申請書に必要事項を記載し、必要書類を添えて 申請することになっています。
筆界特定登記官は、申請に基づいて筆界特定の手続を開始しますが、この手続の中で、土地家屋調査士や弁護士などの民間の専門家から任命される筆界調査委員が調査を行います。
筆界調査委員は、土地の実地調査や測量を含むさまざまな調査を行った上、筆界に関する意見を筆界特定登記官に提出します。筆界特定登記官は、その意見を踏まえ、様々な事情を考慮して、筆界特定を行います。なお、申請人や関係人は、筆界特定が行われる前に、筆界特定登記官に対して、筆界に関する意見を述べたり、資料を提出したりすることができます。
◆筆界特定制度を利用するメリットとは、
筆界をめぐる問題の解決に筆界特定制度を活用することには、次のようなメリットがあります。
(1)費用の負担が少ない
筆界特定制度を申請する際には、申請手数料がかかります。申請手数料は、対象となる土地の価額によって決まり、例えば、対象となる土地(2筆)の合計額が4,000万円である場合における、申請手数料は、8,000円になります。また、申請手数料のほか、現地における筆界の調査で測量を要する場合には、測量費用を負担する必要があります。一般的な宅地の測量を行う場合における、測量費用は数十万円程度となりますが、申請手数料と合計しても、裁判に比べて、費用負担は少なくて 済みます。
(2)早期に判断が示される
筆界特定制度の手続は、訴訟手続に比べて早期に判断が示されます。裁判では、判断が示されるまでに約2年かかるといわれていますが、筆界特定制度の場合は、その多くが半年から1年で判断が示されます(ただし、複雑な問題の場合には、判断までに長期間を要するものもあります)。
(3)民間の専門家の意見を踏まえた判断であり、証拠価値が高い
筆界特定は、公的機関が専門家の意見を踏まえて行った判断であることから、その内容について高い証拠価値があるといえ、裁判手続でもその結果が尊重される傾向にあります。
このほか、筆界特定制度は、境界紛争の相手方が話し合いに応じてくれない場合でも、一方の土地の所有者だけで申請することができます。また、隣人と裁判をしなくても、土地の筆界を明らかにすることができ、土地の筆界に関する問題の解決やトラブル防止を図ることができます。
ただし、所有権の範囲についての争いについては、直接の解決を図ることはできません。また、筆界特定の結果は、行政によって一つの基準が示されると いうことにとどまり、拘束力はありません。特定した筆界に不満がある場合や、拘束力のある判決が必要な場合には、裁判(筆界確定訴訟)で解決を図ることができます。
法務省HP http://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html
誰もが揉めたくない「境界」・・・、
隣人同士で裁判をしなくても、公的な判断として筆界を明らかに出来るため、筆界をめぐる問題解決を図る一つの制度として、ぜひ知っておいてください。
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